10周年を迎えて、次の10年で目指すこと
2005年8月、自発的な問題意識を深める情報サービス「新書マップ」の開発チームを中心に、連想出版は設立されました。信頼できる情報を社会の公共財として育てることを目標に、研究者、編集者、ウェブデザイナーなどの専門家が集まり、従来の活字メディアがもつノウハウをネット空間の情報精度の向上に役立てようと挑戦してきました。これまで10年間の活動を振り返り、今後、私たちは何をなすべきか考えてみたいと思います。
ウェブの普及により膨大で多様な電子情報がいつでも利用可能になりました。しかし、信頼できる情報を得ることは相変わらず難しく、私たちが新しい発想を生み出すための情報を集めることは容易ではありません。連想出版はこの課題に引き続き挑戦していきます。情報技術については、国立情報学研究所連想情報学研究室の成果を活用します。人間が無意識に自分の記憶を探って関連情報を想起するように、膨大な電子情報から関連情報をその場で収集整理して、人間の発想力を高めて創発を促す情報利用環境を追究します。
「信頼できる情報を得やすい社会」の実現には、引用元をどこまでもたどれる情報表現によって、主張の根拠を誰でも裏が取れる形で情報発信することが必要です。そのような情報発信の確かな基盤として、図書館、美術館・博物館、文書館・アーカイブなど歴史ある館(やかた)に蓄えられてきた文化的情報の活用は欠かせません。我々はこれらの情報源に連想技術を適用して、情報内容の関連性でつなぐMLA連携を推進しています。また、それらを市中の案内所(情報の広場)や街頭に届けて、様々な「情報の泉」を造っています。これらの活動を通じて「信頼できる情報がいつも身近にある社会」の実現に貢献していきたいと願っています。今後ともご支援をよろしくお願いいたします。
連想出版のビジョン
情報と情報の新しいつなぎ方を提案し、人と情報の出会いを創造します
- 連想で情報をつなぐ
- 外からの問いかけに、人は自分の記憶から関連情報を思い出して答えます。そんな風に、異なる情報源を相互につなぎたい。この夢を叶えるのが連想検索です。 「知のサイロ」に閉じ込められていた情報がつながります。
- 情報体験をデザインする
- 特定のテーマやある人物に関わる情報を収集整理したアーカイブなど、スペシャルコレクションの新しい情報発信サイトを企画構築します。 情報の蓄積があって初めて可能となる可視化などに挑戦します。
- 館での体験を深める
- 美術館、博物館など文化的な記憶を担ってきた館(やかた)に出向いて、電子絵巻リーダー、さわって探せる電子ギャラリー、来館者参加型展示記録など、現物の展示を補強して体験を深める仕組みを企画構築します。
- 街に情報の泉をつくる
- 居心地のよい街には気持ちのいい広場があり、そこには清らかな泉が湧いています。私たちも神保町やお茶の水の街に情報の広場をつくり、そこに地域ゆかりの記憶が湧き出す「情報の泉」をつくっています。